第1回 おくすりは薬局で相談を (平成16年4月24日(土)掲載分)

病院へ行くほどではないが胃の調子が悪いときなど、街の薬局やドラグストアーなどで薬を購入したり、最近では、病院などで処方せんをもらい、保険薬局で調剤してもらっている方も多いと思います。
 その際、何を目安に薬局などを選んでいるでしょうか。
 家の近くで以前から良く知っているからとか、かかった病院の近くにあったからとか、折り込み広告などを見て安そうだからなど、選ぶ目安は様々でしょう。
 薬は、私達の病気を治してくれる大変役に立つものですが、適切な飲み方や飲む量(用法用量と言います。)を守らないと、効かなかったり、副作用が出て病気を治すはずが別の病気になったりすることもあります。
 また、薬の中には相互作用(飲み合わせ)と言って、例えば気管支喘息薬(テオフィリン)と一部の胃腸薬を一緒にのむと効き目が強く出過ぎたり、ある種の抗菌剤と胃酸を中和する薬を一緒にのむと効果が少なくなるような場合もあります。さらに、薬によっては、牛乳やグレープフルーツなどの飲食物と一緒に飲むとよくない場合もあります。したがって、薬を買ったり、処方せんで調剤してもらう時は、どのような症状なのかを薬剤師によく話し、分からないことは遠慮せずよく聞いて納得した上で正しく使って戴くことが、薬をより安全で効果的に服用する上で非常に重要なことです。
 お客さんの相談をよく聴き、適切な答えやアドバイスをしてもらえるような”かかりつけの”薬局を見つけておきましよう。そうすれば、薬のことだけでなく健康食品についての相談や介護関連機関の問い合わせ、介護用品についての相談もでき、さらに健康に関する色々な情報を得ることも出来ます。
 薬局を選ぶ際の目安の一つとして、薬剤師会では「基準薬局」を認定していますので、「基準薬局」の看板の出ている薬局を選んでみるのも一つの方法です。
今後、薬に関する色々な役に立つ情報を提供いたします。
 「基準薬局」の名簿や「かかりつけ薬局」については、高知県薬剤師会のホームページに掲載していますので、ご覧下さい。

第2回  水虫治療は清・乾・根 (平成16年5月29日(土)掲載分)

 夏に向かい水虫薬のCMが流れていますが、水虫でお困りの方も多いと思われます。水虫は、カビ(真菌)の一種である白癬菌が皮膚の表面の角質層に住みつき水疱やかゆみを伴い、特に足にできる場合が多く、一番蒸れやすい指の間や土踏まずによくできます。
冬の間は治ったと思っていても、気温の上昇とともにぶり返すこともあります。
 水虫の治療は外用薬が中心になりますが、外用薬にも色々な種類があり、最近では効果の優れたものが市販(医療用として使用されていた成分で、一般用として薬局薬店で販売できるようにされた製品)されており、症状によって使い分けることがポイントです。一般的には、カサカサ型には液剤、軟膏やエアゾール(噴霧式薬剤)を、ジュクジュク型には軟膏やパウダーを、症状が出ている部分よりやや広めにぬることが大切です。風呂上がりに使用すると、薬が浸透しやすく効果的です。薬剤師によく相談して症状に合ったものを選んでもらい、効果的な使用法もお聞き下さい。水虫治療の注意点としては、常に足が蒸れないよう「清潔」と「乾燥」に心がけて下さい。そのために木綿製の五本指靴下や、指の間にすきまを作ったり、硬くなった皮膚面を削る器具など水虫対応グッズもいろいろ市販されていますので、試してみるのもよいでしょう。
 かゆみなどのが症状がなくなっても、白癬菌を完全に取り除くまで、1ヶ月以上「根気」よく治療を続けることが必要です。これを怠ると再発の原因となってしまいます。「清潔」「乾燥」「根気」ーこの三つが水虫を治すキーワードです。
 硬く厚くなった角質増殖型や爪(つめ)水虫の場合は、外から外用薬を塗っただけでは奥に潜んでいる菌に届きにくく、内服薬との併用も必要で、専門医の診断・治療を受けてください。
 また、皮膚がはがれたり、かゆみがあって水虫と症状がよく似た皮膚病もあり、素人判断で水虫薬を使用すると症状が悪化する恐れもあります。専門医や薬局などで相談することをお勧めします。

第3回  早起きが早寝促進! (平成16年6月26日(土)掲載分)

 暑くて寝苦しい季節がやって来ました。また、ストレスや心配事で夜眠れないということもありますね。不眠が続くと集中力がなくなり、仕事でミスをおかしたり、自動車の運転などに支障をきたすことにもなります。
 どうしても不眠が続いて困るという方は、寝付きが悪いのか、夜中に度々目が覚めるのかなど不眠の症状をよく医師に伝え、最も適した薬を選択してもらってください。作用時間の短い睡眠薬は、寝付きがよく、朝には薬の作用が残っていないのですっきり起きることができます。
 病院に行くほどでもないと言う方は、医師の処方せんのいらない睡眠改善薬や生薬エキス配合の鎮静剤も市販されていますので、薬局などでご相談ください。
睡眠薬は、アルコールと一緒に飲むと、お互いの作用を強め合って記憶障害が出たり、薬の副作用が強く現れることがあります。同時に飲むことはやめてください。また、一部の睡眠薬では食後に飲むと作用が強く現れることもあり、飲む時間は指示に従ってください。
 厚生労働省の研究班がまとめた「睡眠障害対処12の指針」には、−/臾音間は人それぞれ、日中眠気で困らなければ十分。睡眠時間8時間にはこだわらない。⊇⊃横柑間前のカフェイン摂取、1時間前の喫煙は避ける。L欧燭なってから床につく、就寝時間にこだわらない。て韻源刻に毎日起床。早起きが早寝に通じる。ジの利用でよい睡眠。目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。Φ則正しい3度の食事、規則的な運動習慣。朝食は心と体の目覚めに重要。昼寝をするなら15時まえの20〜30分。眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに。睡眠中のイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意。十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に。睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全。−など日常生活の中での注意で眠ることができるようになることが示されています。
 早起きして朝の光を目に入れることで体内時計がリセットされ、夜には眠くなります。薬を飲まなくても眠れるよう、規則的な生活リズムの維持にも心がけましょう。

第4回 紫外線対策はOK? (平成16年7月31日(土)掲載分)

 子どもたちは夏休み。家族で海や山にお出かけの機会が増えるシーズンですが、紫外線対策は大丈夫ですか?
紫外線トラブルの一つに、日光皮膚炎があります。アウトドアのスポーツや仕事などで長時間日光に当たった後、衣類から露出した部分が赤くなったり、水ぶくれになったり、ぶつぶつやざらざらの状態になったら日光皮膚炎が考えられます。日光皮膚炎はやけどと同じ状態なので、まず冷やすことが肝心です。赤みが強く痛みを伴う急性の炎症症状には、非ステロイド消炎外用薬などを使用します。水疱(すいほう)ができたり、それが破れてただれたような場合は、皮膚科を受診しましょう。日光皮膚炎はいろいろあり、「多形日光皮膚炎」は、比較的若い女性に多く、小さな隆起した発疹(ほっしん)が数多くできて強いかゆみを伴います。「慢性光線過敏症皮膚炎」は、中年男性に増えており、皮膚が厚くごわごわになるのが特徴です。治りにくく、皮膚リンパ腫になる可能性もあります。また、ある種の薬を内服していると、普通では日焼けしない程度の日光で皮膚が赤くなったり、腫れたりすることがあります。これが「光線過敏症」。高血圧の薬、糖尿病の薬、抗生物質、痛み止め、リウマチの薬、ガンの薬、てんかんの薬など比較的多くの薬で報告されていますます。
 外用薬による過敏症も報告されています。関節痛などで使用する消炎鎮痛薬の貼り薬、湿疹や皮膚炎に使用される軟こう、炎症を抑える点眼薬などの一部に皮膚炎症状が現れることがあります。
 薬のせいとは気付きにくいものですが、薬を使用している方で、日に当たった部分に皮膚炎症状が出たら、すぐに主治医や薬剤師に相談しましょう。
 紫外線による有害反応は、皮膚炎ばかりでなく、皮膚の老化による(光老化)シミやしわ、たるみなどの原因にもなります。紫外線を直接浴びるのはできるだけ控えましょう。 日中、外に出る場合は紫外線情報などを参考に、帽子やサンスクリーン剤などでの防御が大切です。
 サンスクリーン剤には、SPF(B紫外線を遮るUVB効果)が数字で表されており、SPF1は、国内の場合は20分間紫外線を防ぐと考えて選ぶと良いでしょう。
 季節や場所、時間を考えて選んで付けますが、衣服との摩擦や汗を拭いた際には落ちますので、朝付けた場合は昼には付け直すなどのケアが大切です。

第5回 薬の安全な保管法は? (平成16年8月28日(土)掲載分)

 もうすぐ9月1日、”防災の日”です。普段はあまり使用しないご家庭の「救急箱」を点検してみてはいかがでしょうか。
 薬は、高温・多湿・直射日光にさらされると変質しやすくなります。変質すれば効果が減るだけでなく、有害物質に変わる可能性も。最近では病院などでも、2週間以上の長期間にわたって薬が処方される機会が増えています。薬を安全に使用するため、ぜひとも次の点に気を付けて保管してください。
 (欖匹楼鼎て涼しい場所に。金属製の容器(薬や菓子の入っていた容器など)に乾燥剤と一緒に入れておくとよいですね。シロップ剤や目薬などは区別できる箱などに納めて冷蔵庫で保管するようにしましょう。
 ただし、血圧の薬や糖尿病の薬など、日常的にのまなければならない薬は手近に置いてのみ忘れを防ぎましょう。
 ⊂さな子どもが誤って飲んだりしないよう、必ず子どもの手の届かない場所に保管しましょう。
 L瑤粒鞍△簑沺∪睫製颪覆匹蓮∋箸だ擇襪泙念貊錣吠欖匹髻8能や注意事項など大切な情報が詰まっています。
 でに一度は薬箱などを整理し、使用期限を確認しましょう。開封した薬は、変質しやすいため、開封時の日付を記入し、目薬は開封後約1ヶ月、その他の錠剤などは長くても1年を期限の目安に。薬局で調剤してもらったシロップ剤は使い切りにしてください。
 また、病院などでもらった薬が残っていても、前と同じような症状だからと自己判断でのんだり、他の人に与えるなどのことは絶対に禁物。また、使用期限の過ぎた薬は廃棄しましょう。
 ヌ瑤亙未陵憧錣飽椶靴えないように。誤飲などの原因になり危険です。
 Ε疋螢鵐剤の空きビンなどに、農薬や殺虫剤などは絶対に入れないでください。
 以上のことに留意しながら、薬と安全に、正しく付き合いましょう。

第6回 処方薬は”オンリーユー”  (平成16年9月25日(土)掲載分)

 薬には、医師が診察して患者毎に出す「処方薬」と薬局・薬店で販売されている「大衆薬」がありますが、以前と同じ症状だからといって処方薬を自己判断で使用したり、家族で使い回ししていませんか?
 余った薬の処理方法に関する調査(複数回答)では、「捨てる」が48%、「保管しておき、似た症状の時自分に使う」が49%、「保管しておき、似た症状の家族を含め他人に使う」が16% という結果で。「捨てる」という正しい回答は半分以下でした。
例えば、便秘気味の母親が風邪で咳が出るからといって、息子さんが病院でもらってきたコデイン入りの咳止めをのんだところ便秘がさらにひどくなった◇尿の出が悪くなっているおじいちゃんが、鼻水が出て困ったとき、お孫さんがもらっていた鼻水の薬をのんだところ、ますます尿の出が悪くなったーという話があります。中には、ご主人の狭心症の痛みをとる貼り薬を、心臓が悪くない奥さんが肩が痛いからといって貼ったところ、顔がほてってめまいやふらつきが出たというあぶない事例も。
また、乳児の場合は、半年前に処方してもらった薬が残っていても、体重が増えてその時と同じ量では効かないこともあるので要注意です。
 血圧を下げる薬一つをとってみても、尿を多く出す◇血液中の血圧を上げる物質ができないようにする◇血管や心臓の筋肉にカルシウムが取り込まれないようにするーなど、薬によって作用が異なるため、患者さんそれぞれの血圧値や心臓の状況、生活習慣などを判断して薬が決められます。高血圧症だからといってほかの人の薬と同じだとは限らないのです。
 素人判断で「前と似た症状だから」と残っていた薬を使ったり、ましてや家族であっても他人が使うことは大変危険。医師は、患者さんのその時の身体状況などをすべて考慮し、薬の種類、量、飲む回数などを決めて処方しているのですから・・・・。処方薬は市販の大衆薬とは異なり、その人だけのその時の症状に合わせた”オーダーメイド”だということをお忘れなく。残った薬の廃棄処分に困ったときは、薬局などにぜひご相談下さい。

第7回 降圧剤との付き合い方 (平成16年10月30日(土)掲載分)

 降圧剤(血圧の薬)をちゃんと飲んでいますか?
 血圧の薬を飲んでいる方の中には、血圧を測定してもらったり、自分で測ったら高くなくなっていたので、薬を飲むのをやめているという方もいるのではないでしょうか。
 でも、忘れてはいませんか?あなたの血圧が安定しているのは、薬をのんでいるからだということを。
 薬の種類によっては、血圧を健康な状態に保つことと併せ、高血圧に伴う心臓肥大、心不全、脳梗塞、腎障害などの合併症の予防にも良い効果が期待できることが分かっています。
 自己判断で薬の分量を加減したり止めたりすることなく、医師の指示どおりに続けて飲むことが大切です。降圧剤は、急にのむことを止めるとリバウンド現象と言って、かえって血圧の上昇を招く恐れもあります。
 また、年をとるにつれて、糖尿病や高脂血症などを合併している場合も増えてきます。それぞれの病気の治療のために薬の種類が増え、そのため副作用が出たりする可能性もあることから、怖くてのまなかったという方もおられるようですが、必要な薬はのまないと病気が治りません。薬による治療中は、身体の状態によく注意して、なにかいつもと違う症状が感じられ、副作用かなと思われたら、すぐに主治医や薬剤師に相談しましょう。
 薬をもらう際は、薬剤師に飲み方や飲み合わせ、飲み忘れたときどうすればよいかなどの注意事項についてもよく相談してください。お薬手帳をお持ちの方は、それに注意事項などを記入してもらうとよいでしょう。
 生活習慣病といわれる高血圧は、塩分やコレステロール・中性脂肪の多い食べ物を控え、禁煙、散歩などの適度な運動をするなど、血圧を上げないような生活上の注意が大切。それと同時に、血圧の薬と上手に付き合うことが長生きの秘訣(ひけつ)ともいえます。

第8回 薬とアルコールの相性 (平成16年11月27日(土)掲載分)

もうすぐ師走、忘年会シーズンを迎えます。しかし、お酒を飲むときは普段のんでいる薬との「のみ合わせ」に注意することが必要です。
 例えば、アルコールと睡眠薬や精神安定剤を一緒にのむと、どちらも脳の中枢の働きを抑制するため、眠気が強くなりすぎたり、意識がもうろうとなったり、呼吸が抑制されるなど、重大な副作用を招く恐れもあります。逆に、睡眠の途中で目が覚めて翌朝に眠気が残ることもあります。
 また、アレルギー性鼻炎などに用いられる抗ヒスタミン剤とアルコールを一緒に飲むと、眠気、注意力の低下などが強く現れる可能性があります。かぜ薬には抗ヒスタミン剤が含まれていることが多く、卵酒を飲んでかぜ薬をのむようなことは止めましょう。
胃潰瘍の薬の中にはアルコールの分解を妨げて吸収を高めるので、いつもの酒量でも酔いが回りやすく泥酔状態になったり、急性アルコール中毒になりやすいと言われています。
更に、血糖降下剤や降圧剤とアルコールを一緒に飲むと、血糖降下作用が強く出て低血糖昏睡になったり、アルコールの血管拡張作用と相まって降圧作用が強く現れ、急な血圧低下を来すことがあります。
 その他にも、抗生物質、狭心症の薬、水虫の薬などアルコールと相性が悪い薬はたくさんあります。さらに最近では、長時間にわたって効果が持続する薬もあり、薬をのんでいる間は禁酒が基本ですが、どうしても晩酌が欠かせないという方は、主治医や薬剤師によく相談してください。
 「酒は百薬の長」ともいわれますが、適量を”たしなむ”程度に飲めば、血行がよくなり、食欲も増し、寒い冬に身体が暖まり、酒の効用を満喫できることでしょう。

第9回 胃腸薬の賢い選び方 (平成16年12月25日(土) 掲載分)

 忘年会が終わっても次はお正月、そして新年会と、まだまだ胃腸薬を手放せないシーズンが続きますね。そこで今回は、薬局などで手に入る胃腸薬の上手な選び方をご紹介しましょう。
まず、食べ過ぎや飲み過ぎで胃のもたれ、食欲不振、胃の働きが弱っている場合は、消化薬を含む胃腸薬をのみます。
 その中には、ニッケイやウイキョウなどの芳香性のもの、センブリやオウレンなどの苦味性のものが含まれているものもあり、この独特の香りや苦味にだ液や胃液の分泌を促進したり、胃の働きをよくする作用があります。ですから、苦いからといって、オブラードに包んでのんでしまっては、せっかくの効果が台なしになってしまうのです。
空腹時に胸やけがする、ゲップが出る、胃が痛むなどの場合は、胃酸の出過ぎによることが多いので、胃液の分泌をよくする成分を含む薬は逆効果。このような場合は、胃酸を中和する炭酸水素ナトリウム(重曹)、水酸化アルミニウムなどを含んだ制酸薬をのみましょう。
 また、数年前からは、胃の痛みや胸やけに効果のある、過剰な胃液の分泌を抑えてくれるH2ブロッカーなどを配合した胃腸薬が販売されています。
薬局で胃腸薬をお買い求めの際は、胃もたれ、胸やけなどの症状がどんなときに出るか(空腹時か、食後か)などを具体的に説明して適したものを選んでもらいましょう。現在病院にかかってのんでいる薬や、健康食品、サプリメントなどについて話すこともわすれずに。
 また、漫然と胃腸薬を使用することによって、大きな病気の発見を遅らせる恐れもありますので、症状が改善されないときは専門医に診てもらうことをお勧めします。腹も身のうち、腹八分目にし、食べ過ぎ飲み過ぎに注意して良いお年をお迎えください。

第10回 風邪薬の賢い選び方 (平成17年1月29日(土) 掲載分)

 寒さも本番を迎え、風邪をひく方が多くなりましたね。インフルエンザ(流行性感冒)による学級閉鎖などがニュースになる季節でもあります。
 風邪の原因の大部分はウイルス。低温と乾燥の下で長時間活性を保つことがでるので、これからの季節は感染が広がりやすくなります。
 ウイルスが原因となる風邪のうち、インフルエンザに対して効果がある薬はできています。発症後30時間から48時間以内の投与が効果的ですので早めに病院などで診てもらいましょう。インフルエンザ以外の風邪の原因ウイルスに対して有効な薬はまだ見つかっていないので、発熱、くしゃみ、鼻水、せきなどの症状をとりあえず改善する薬をのむといった対症療法が中心になります。
 くしゃみや鼻水・鼻づまりのようなアレルギー症状の場合は、抗ヒスタミン薬や副交感神経を抑制する薬、鼻の粘膜の血管を収縮してうっ血や腫れを改善する薬や炎症を抑える薬を含んだ鼻炎用内服薬があります。
 この種の薬をのむと口やのどが渇いたり、便秘気味になったり、眠気が起こることがありますので、車の運転や高所での作業には注意しましょう。
 のどが腫れたり痛みがあるときは、うがい薬でよくうがいし、殺菌剤などの入ったトローチを口に含んだり、のどに直接塗ったりスプレーする薬も良いでしょう。
 せきにはせき止め薬を用いますが、痰(たん)のからんだせきには、せき止めではなく痰を溶かして出しやすくする去痰薬を用います。幾つかの症状が重なっていれば、総合感冒薬もあります。薬局などで症状を詳しく説明し、最適な薬を選んでもらいましょう。
高齢の方や小さなお子さんの場合は合併症の危険もあるたため、早めに医師の診察を受け、たかが”風邪”と軽視しないように。この時季、うがいや手洗いを励行し、風邪をひいたときは、安静・保温・保湿・水分補給・十分な栄養の摂取がなにより大切です。

第11回 花粉症対策あれこれ (平成17年2月26日(土) 掲載分)

 寒い冬が終わり、暖かい春が訪れると、何か気分をワクワクさせてくれるものですが、花粉症の方にとっては憂うつな季節。そこで今回は、花粉症を少しでも和らげる対策をご紹介します。
 ポイントは花粉を吸い込んだり、目に入る量を少しでも減らすこと。外出時に花粉防止用眼鏡やマスク、帽子を着用し、帰宅時には衣服や髪などに付いた花粉をよく払い落としましょう。目や顔を洗ったり、鼻をかむのも忘れずに。花粉の付きにくいツルツルした素材の衣服を着ることも効果的です。洗濯物を外に干したら、よくはたいて花粉を落としましょう。
 室内は掃除機やぬれぞうきんでこまめに掃除し、空気清浄機も効果があります。いろんなな花粉症対策グッズも市販されていますので、薬局などでご相談下さい。
 今年は特にスギ花粉の飛散量が多いので、ご注意を。アレルギー症状が出てきたら、症状が軽いうちに薬をのみ、飛散量のピークを迎える前に症状を抑えましょう。
 くしゃみ・鼻水・鼻づまりには、鼻アレルギーの治療薬として薬局などで手に入る鼻炎用内服薬をどうぞ。アレルギー症状を抑え、鼻粘膜の血管を収縮させて鼻づまりを緩和する▽鼻水を抑える▽鼻粘膜の腫れを抑えるーといった成分が含まれており、効果の持続時間が比較的長く、1日に2回の服用でよいものも販売されています。
 医師が処方する薬には予防的に働くものもあり、症状の出る前からの服用も効果的。ただし、鼻炎用内服薬の中には眠気を催す薬もあり、車の運転や高所作業などには気を付けてください。
 目のかゆみなどには、抗アレルギー成分を含む目薬が市販されています。疲れ目や結膜充血などに使用する目薬とは違いますので、薬局などで十分ご相談を。点鼻薬や目薬は使用回数や使用量をきちんと守ることが大切ですので、よく確認して正しく使いましょう。
 毎年症状のひどい方は、花粉の飛散の始まる前や多くなる前に、予防的治療法や減感作療法(花粉に身体を慣れさせる療法)を試されることもお勧めします。

第12回 薬剤師との付き合い方 (平成17年3月26日(土) 掲載分)

 みなさんは、病院や診療所でもらった「処方せん」を持っていく”かかりつけ薬局”をお持ちですか?
薬局では、処方された薬の内容だけでなく、体質やアレルギー歴、副作用の有無などをお聞きして記録し、「薬歴」として保管しています。この薬歴に基づいて、以前に処方された薬の状況などと比較しながら処方せんをチェックしているのです。
 特に、複数の医療機関で治療を受けている方の場合、一つの決まった薬局(かかりつけ薬局)に処方せんを持っていくと、薬歴によってそれぞれの医療機関で出された処方について、「似た作用を持つ薬が重複していないか」、「のみ合わせの悪い薬が処方されていないか」などを十分チェックします。もしも薬が重複していたり、のみ合わせが悪い場合は、処方せんを出された医師に相談し、その指示を受けて調剤します。
 このように、自宅の近くや行きやすいところで信頼できる”かかりつけ薬局”を決めておくと、薬をより安全で効果的にのむことができるのです。
さらに、この”かかりつけ薬局”の中で、話しやすくて自分と相性のよい薬剤師を見つけ、自分の”かかりつけ薬剤師”にすると、薬についての質問や相談だけでなく、健康に関する相談なども気軽にできるようになるのではないでしょうか。
 例えば、市販薬を買うときも、この”かかりつけ薬剤師”に相談し、副作用や医療機関でもらった薬とののみ合わせなどについてもチェックしてもらうことができます。ほかにも、「こんな症状があるが、病院などで診てもらった方がよいのか」「何科を受診すればよいのか」といった相談をしたり、健康食品やサプリメントを選ぶ際のアドバイスなどもしてもらえるでしょう。
 また、「介護まちかど相談所」のステッカーのある薬局も増えています。ここでは、介護サービスについての相談や介護用品の使い方などのアドバイスを受けることもできます。
薬局や薬剤師とうまくコミュニケーションを取って、日頃の健康管理にお役立てください。

第13回 「お薬手帳」の効用 (平成17年4月30日(土) 掲載分)

 これは、ある薬局に相談のあった事例です。
 「高血圧の治療で幾つもの薬を一緒にのんでいるが大丈夫でしょうか?」とのこと。薬を見せてもらうと、その中に「尿を出す薬」と「尿が出にくくなる薬」という矛盾した組合せの薬がありました。前者は「降圧利尿剤」。血圧が高かったり、足がむくんだりするときにのんで尿を出して血圧を下げたり、むくみをとる効果があります。後者は「排尿抑制剤」で、尿が近かったり、尿もれなどを抑えるためにのむ薬です。一方の薬は尿を出す働きをし、もう一方の薬は出させない働きをするわけですから、身体への負担は大変です。
 どうしてこのようなことになったのでしょうか?よく聞いてみると、高血圧の治療のためA病院で薬をもらってのんでいたが、尿が近くなったので、別のB診療所を受診。A病院で薬をもらってのんでいることを言えずに、再々トイレに行くことだけ言って薬を出してもらったということでした。
 薬をのみだして尿が近くて困ることをA病院で説明すれば、違うタイプの薬に変えてもらうこともできたでしょう。もしくはB診療所で、A病院でもらっている薬を見せた上で診察してもらっていれば、このような結果にはならなかったと考えられます。
この話のように、複数の医療機関で診察を受けている場合、患者さんが薬をのんでいることを告げないと、同じ作用の薬がダブって出されたり、のみ合わせの悪い薬が出されたりする可能性が高くなります。
 そうしたトラブルを防いでくれるのが「おくすり手帳」といわれるもの。薬をもらった病院や薬局で、薬の名前やのむ量・回数などを記入してもらい、病院や薬局などに行くときには必ず持参して見てもらえば、薬の重複や相互作用による副作用などが避けられ、無駄な薬をのむことにもなりません。
 「おくすり手帳」は病院や薬局ごとに分けるのではなく、必ず1冊に全ての情報が記入されるように。そうすることで、薬をより安全で効果的にのむことができ、さらには災害時や緊急時にも大変役に立ちます。
「おくすり手帳」については、薬局でご相談下さい。

第14回 骨粗しょう症対策あれこれ (平成17年5月27日(金)掲載分)

 高齢者の生活に大きな影響を与える骨粗しょうー。
 今回はその対策についてご紹介します。 人の骨量は30代でピークに達し、その後加齢とともに徐々に低下していきます。特に女性は、閉経を境に女性ホルモンのエストロゲンが減少し、それに伴って骨量が減少します。骨量が減り、大根にしょう(す)がいったような状態を「骨粗しょう症」といいます。   
 骨粗しょう症になると骨がもろくなるために骨折を起こしやすくなります。転んだ際に足の付け根などの骨折し、歩けなくなって骨や筋肉が弱り、介助が必要となってそのまま寝たきりになるケースも。転倒防止のため、住宅の段差をなくしたり、履き物にも気を付けましょう。また、腰椎(ようつい)保護ベルトなどの保護装具の使用も効果があるようです。
 骨粗しょう症の予防にはまず、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを多く含む食品を十分にとること。外食やレトルト食品には塩分やリンが多く、カルシウムの吸収を妨げるので控えるようにし、バランスの良い食事を心掛けましょう。食事でとれない場合は、サプリメント(栄養補助食品)で補うこともできます。
 次に大切なのは骨量を増やすこと。ウォーキングなどの適度な運動を続けましょう。既に、腰痛や膝痛(しっつい)のある方は、太ももやふくらはぎの筋力トレーニングがお勧めです。イスに坐って膝(ひざ)を上下するだけでも股関節を柔らかくします。
 骨粗しょう症になると、医療機関では骨粗しょう症の原因、痛み・うずきや骨折の有無などに応じて適切な薬が処方されます。カルシウム剤やビタミンD剤のように骨量を増やす薬や、最近では女性ホルモンに作用して骨量が減るのを防ぐ薬も使われています。 しかし、最近の骨粗しょう症の薬は、腸からの吸収率が低いので、必ず空腹時にのむ必要があります。毎朝起床時にコップ1杯の水でのみ、30分間は横にならず、飲食を避ける、あるいは、のむ前後2時間は飲食を避ける必要のある薬もあります。
 のみ方や注意事項を医師や薬剤師によく聞いた上で、正しくのんでコツコツと気長に治療することが大切です。    

第15回 健康食品 機能に注意を (平成17年6月24日(金)掲載分)

 先月末、インターネットオークションで購入した中国製ダイエット用健康食品をのみ、健康被害を受けた方の事例が地元紙でも報道されました。この健康食品には、食欲抑制作用を持ち、覚せい剤に類似した作用で依存性のある向精神薬マジンドールなどの医薬品成分が検出され、死亡例も報告されています。これまでにもダイエット用健康食品による健康被害が報告されていますが、「やせたい」「健康になりたい」といった願望から、”何が入っているか分からない健康食品”を安易に飲んだりすることは考えものです。
 最近よく「サプリメント」と言う言葉が使われています。英語では”ダイエタリーサプリメント(食品補助)”と呼ばれていますが、日々の食生活で不足する食品成分や、追加して摂取することで健康の維持増進に役立つ食品成分を含む食品といえます。
食品に求められる機能の多様化や技術開発の進歩による多種多様な機能を持つ新しい食品の開発などを受け、これまでひとくくりにされていたいわゆる「健康食品」は、大きく三つに分類されました。仝生労働省の審査・許可が必要な「特定保健用食品」(条件付き特定保健用食品を含む。)、規格基準を満たせば許可は必要ない「栄養機能食品」、そのどちらでもない「その他の健康食品」−です。
 特定保健用食品は、その成分が科学的試験結果に基づいて健康に有用な機能性があると認められ、「血圧が高めの方」「血糖値が気になる方」などの健康表示が許可されるものと、一定の有効性が確認される食品で、条件付きの表示が許可されるものがあります。
 栄養機能食品は、高齢化や食生活の乱れなどにより、通常の食生活を行うことが難しく、1日に必要な栄養成分を摂取できない場合などに、栄養を補給・補完するための食品。カルシウムや鉄など5種類のミネラルと12種類のビタミン類があります。規格基準に適合したものは、例えば「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」といった栄養機能表示が認められています。
 ここで注意していただきたいのは、これらはいずれも「食品」であり、「薬」ではないということです。病気の治療効果を期待してそれだけを飲み続けていると、適切な治療時期を失するなどの危険もあるのです。
次回から、これらの食品の正しく安全な使い方などについてご紹介します。

第16回 トクホ 薬との併用注意 (平成17年7月29日(金)掲載分)

 今回は、特定保健用食品(トクホ)についてご紹介します。
特定保健用食品は、身体の生理学的機能等に影響を与える成分を含んでいます。このため、個別に有効性や安全性について科学的根拠に関する審査を経て厚生労働大臣の許可を受け、「お腹の調子を整える」、「血圧が高めの方に」などの効用が表示できる食品です。現在、13の用途で500を超える品目が許可されています。
 また、科学的根拠のレベルは低いが、一定の有効性が確認される食品は「条件付き特定保健用食品」。「〇〇を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です」というような表示が認められます。
 さらに、カルシウムと葉酸については、疾病リスク低減表示が認められており、例えば、カルシウムでは、「年をとってからの骨粗しょう症になるリスクを低減するかもしれません。」といった表示が可能です。
 トクホを摂取する際に注意してほしいのは治療中の病気との関係。例えば、「血圧が高めの方」向けの食品中のラクトトリペプチドやかつお節オリゴペプチドなどは、ある種の降圧剤(ACE阻害剤)と類似した作用があります。また、「血糖値が気になる方」向けのグァバ葉ポリフェノールやL−アラビノースには、食後過血糖改善薬(αグルコシダーゼ阻害剤)と類似した作用を持っています。
 薬と一緒にのむことで、血圧の下がり過ぎや低血糖の恐れ、さらには医師の診断や治療方針の決定に影響が出る可能性も。トクホを摂取するタイミングによっては効果の現れ方に差が出る場合もありますので、薬剤師にご相談下さい。
 トクホは多量に摂取しても病気が治るものではありません。1日当たりの摂取目安量を守り、製品に表示されている注意事項をよく読んで、トクホを適切に利用して健康維持に役立ててください。次回は、「栄養機能食品」についてご紹介します。

保健の用途の表示内容主な保健機能成分(関与成分)
お腹の調子を整える各種乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖、食物繊維 など
血糖値の気になる方に難消化性デキストリン、グァバ葉ポリフェノール、L−アラビノース など
血圧が高めの方にラクトトリペプチド、かつお節オリゴペプチド、杜仲葉配糖体 など
コレステロールが高めの方に大豆タンパク質、キトサン、サイリウム種皮の食物繊維 など
骨の健康が気になる方に大豆イソフラボン、乳塩基性タンパク質 など
ミネラルの吸収を助けるクエン酸リンゴ酸カルシウム、カゼインホスホペプチドなど
食後の血中の中性脂肪を抑えるジアシルグリセロール、グロビン蛋白分解物
歯を丈夫で健康に保つキシリトール、フノラン、第二リン酸カルシウム など
虫歯の原因になりにくいパラチノース、マルチトール、キシリトール、エリスリトールなど
体脂肪がつきにくいジアシルグリセロール

第17回 不足分を栄養機能食品で (平成17年8月26日(金)掲載分)

 今回は、栄養機能食品についてご紹介します。
栄養機能食品とは、高齢化やライフスタイルの変化などにより、通常の食生活を行うことが難しく、1日に必要な栄養成分が摂取できない場合に、その補給・補完のために利用する食品です。
 栄養成分量が、国が定めた規格基準に適合していれば、定められた表示をして製造・販売ができるもので、特定保健用食品とは異なり、厚生労働大臣の許可などを受けているものではありません。
現在、ミネラル類(5種類)、ビタミン類(12種類)に規格基準が定められており、それぞれの成分と栄養機能は表の通りです。
 食事は、主食、主菜、副菜を基本にバランスが重要ですが、どうしても日常の食生活では不足する栄養成分があれば補充して健康維持に役立ててください。
栄養機能食品は、多量に摂取しても病気が治癒したり、より健康が増進するものではありません。
 亜鉛の摂りすぎは銅の吸収を阻害する恐れがありますし、マグネシウムの摂りすぎは軟便(下痢)になることもあります。
 また、脂肪分に溶けやすいビタミンを摂りすぎると、ビタミンAでは頭痛や顔面紅潮、皮膚の乾燥など、ビタミンDでは骨がもろくなったり、食欲不振など、ビタミンEでは血液凝固障害などの副作用が伴う恐れもあります。
 1日当たりの摂取目安量や注意事項を守って適正に使用しましょう。

ミネラル類栄養機能
亜鉛味覚を正常に保つために必要。皮膚や粘膜の健康維持を助け、たん ぱく質・核酸の
代謝に関与して健康維持に役立つ。
カルシウム骨や歯の形成に必要。
赤血球を作るのに必要。
赤血球の形成を助ける。体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける。
マグネシウム骨や歯の形成に必要。体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助け、血液循環を正常に保つために必要。
ビタミン類
ナイアシン・パントテン酸・ビオチン皮膚や粘膜の健康維持を助ける。
ビタミンA夜間の視力の維持を助け、皮膚や粘膜の健康維持を助ける。
ビタミンB1炭水化物からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助る。
ビタミンB2皮膚や粘膜の健康維持を助ける。
ビタミンB6たんぱく質からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助る。
ビタミンB12赤血球の形成を助ける。
ビタミンC皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ。
ビタミンD腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける。
ビタミンE抗酸化作用で体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける。
葉酸赤血球の形成を助ける。胎児の正常な発育に寄与する。

第18回 高齢者に多い副作用 (平成17年9月30日(金)掲載分)

 薬は、病気の治療に必要なものですが、多くの薬は病気の治療に役立つ「作用(効果)」と、身体にとって都合の悪い「副作用」も持っています。
 副作用の発生頻度は高齢者ほど高くなる傾向にあります。
 身体の機能は歳とともに衰えますので、薬を分解したり排泄する臓器である肝臓や腎臓の働きが弱ります。そのために薬が体内に長く留まり、副作用が現れやすくなるのです。
 さらに、高齢になるといろいろな病気をかかえている方も増え、複数の診療科にかかることも多いため、処方される薬の種類や量も増えてきます。
 薬の量や種類が増えれば、薬によっては作用が強まったり、逆に弱まったりするいわゆる「相互作用」が起こりやすくなります。また、記憶力や理解力などの衰えにより、薬の種類や量を間違えてのんでしまったり、のみ忘れや使用方法を誤るといった可能性も。こうした薬の誤用なども、高齢者の副作用の一因になっています。
 のみ忘れの多い場合や、手が不自由で錠剤などを包装からうまく取り出せないような場合は、多種類の薬を、のむべき時点毎にまとめてもらうこと(一包化)もできます。また、錠剤やカプセル状などの薬が飲み込みにくい場合は、飲みやすくできることもありますので、薬局でご相談ください。
 特に最近は、高血圧や糖尿病といった「生活習慣病」が多く、長期にわたって生活習慣を改善しながら、薬をのむことで病状をコントロールしていく必要があります。
 したがって、自らが健康を管理していくという姿勢が大切です。薬についても「なぜ薬をのまなければならないのか」、「薬をのむことがどのように役立つのか」を理解したうえで、薬と上手に付き合って副作用が出るのを防ぎ、治療効果を上げるように努めましょう。

第19回 妊娠中の服用は注意を (平成17年10月28日(金)掲載分)

 薬による治療中に妊娠していることが分かった場合や、妊娠しているけれども薬をのむ必要ができた場合など、胎児への影響がないかどうか心配になった、妊婦さんから相談を受けることがよくあります。
 健康で正常な赤ちゃんの誕生は万人の願いであり、心配されるのは当然のこと。そこで今回は、妊婦さんと薬についてご紹介します。
まず、妊娠初期の薬の影響について。受精前から妊娠3週末までの時期は、仮に薬の影響があっても修復されるか、最悪の場合流産してしまいます。その期間を超えて長期間母体に残留する薬、例えば、重症乾癬(かんせん)治療薬のチガソン、C型肝炎治療薬のレベトール、風疹(ふうしん)生ワクチンなどでなければ、奇形との関連は少ないとされています。
注意しなければならないのは、妊娠4週から7週末の期間。この時期は胎児の中枢神経、心臓、消化器、手足などの重要な臓器の発生・分化の時期ですから、薬の投与による母体への利益が、胎児への奇形などのリスク(危険性)を大幅に上回るときのみ使用すべきです。
 医師に妊娠何周目ということを伝えれば、薬を使ってもいいのか判断してもらえるでしょう。特に注意すべきものとしては、卵胞ホルモン剤、血栓治療剤のワーファリン、向精神薬、脂溶性のビタミンAなどがあります。
妊娠16週〜分娩(ぶんべん)までの時期でも、胎児への影響がある薬があります。妊娠の進行に伴い、薬剤に対する胎児の感受性が次第に低下しますが、無くなるわけではありません。この時期、母体に投与された薬剤は、胎盤を通過して胎児へ到達します。胎盤通過性は、薬の分子量や脂溶性か否かなどのより異なります。
 例えば、鎮痛薬は胎盤を通過して胎児に移行し、その影響で胎児の血液循環に不可欠な心臓の動脈管が閉鎖して流産や早産の原因になることも。また、妊娠中は便秘がちになりますが、下剤を使用する場合、特に妊娠後期には流産等の危険性もありますので必ず主治医に相談してください。
 胎児などへの影響は薬だけではありません。妊娠中の多量の飲酒が「胎児アルコール症候群」、喫煙が「乳児突然死症候群」と関係があるとも言われています。かわいい我が子のためにも節酒・禁煙を心掛けましょう。

第20回 授乳中の薬の使用は? (平成17年11月25(金)掲載分)

授乳中にお母さんが薬をのむ必要ができたような場合、赤ちゃんに影響がないかどうかについての問い合わせが多くあります。そこで今回は、授乳中の薬の使用についてご紹介します。
 母乳は、多くの利点があることから乳児栄養の基本であると同時に、授乳行為そのものが母子相互の安定した情緒を育て保つ上で重要な役割を果たしてもいます。
 しかし、授乳中に母親が薬を使用しなければならないケースもしばしば出てきます。特に新生児は薬を分解・排せつする能力が低く、また、母乳中の濃度は低くかったとしても、生後2週間くらいから母乳を飲む量も600mlくらいに増えるので注意が必要です。
 母乳中に移行して乳児に影響を与えるため、授乳中は投与しない薬として、一部の躁(そう)病治療薬・リウマチ治療薬・パーキンソン病治療薬・偏頭痛治療薬・抗ガン剤・抗菌剤・免疫抑制剤やアスピリンなどがあります。
 また、同じ効能の薬でも母乳に移行する濃度に大きな差が生じるものもあります。例えば、同じ甲状腺機能亢進(こうしん)症の治療薬であるチアマゾールとプロピルチオウラシルでは、チアマゾールの方が母乳中の濃度が10倍高くなります。
 多くの薬は授乳中であっても使用できますが、病院等で診察してもらう際には授乳中であることを必ず伝えてください。薬局で薬を買う場合も同様に、薬剤師に伝えるようにしましょう。
 薬をのむ場合は、授乳してその直後にのむようにしましょう。そして、授乳後赤ちゃんの体の状態に変化がないか気を付けることが大切。母乳の飲みが悪くなる▽眠りが浅くなる▽元気がなくなる▽湿疹(しっしん)が出る▽便の状態が変わった−などの場合は薬をのむのは中止し、医師に診てもらうことも必要です。

第21回 薬とカフェインの相性 (平成17年12月30日(金)掲載分)

 「薬は水か、ぬるま湯でのんでください」という話をよく聞かれると思います。以前まで、貧血の治療薬である鉄剤はお茶でのんではいけないとされていました。これはお茶に含まれるタンニンが鉄とくっついて吸収が悪くなると言う理由でしたが、今ではほとんど吸収に差がないことが分かっています。
 では、くすりをお茶でのんでもいいのでしょうか?答えはノーです。実はお茶で薬をのむと、さまざまな問題があることがわかっています。というのも、お茶に含まれるカフェインが薬に作用するからなのです。
 お茶のほかにも、カフェインを含む飲み物としてはコーヒーや紅茶、ウーロン茶、コーラなどが挙げられます。その浸出液100ミリリットル中のカフェイン量は、番茶10ミリグラム、コーヒー40ミリグラム、紅茶60ミリグラム、玉露の160ミリグラム−とさまざまです。
 例えば、今の時季でいえば風邪薬。多くの風邪薬にはもともと、一回量20から50ミリグラムのカフェインが含まれています。風邪をひいて市販の風邪薬をのむときに、身体を温めて汗をかこうとコーヒーやミルクティーをたくさん飲むのはやめた方がよいということにまります。
 栄養補給する目的で、医薬部外品のドリンク剤などを飲む際にも注意が必要です。中には1瓶で50ミリグラムのカフェインを含んだものもあり、その上、飲み物からもカフェインをとれば、一回のカフェインの薬用量100〜300ミリグラムを超える恐れも。作用が強まって頭が痛くなったりイライラ状態になったりします。
 また、胃潰瘍(いかいよう)などの治療薬であるH2ブロッカー(シメチジン)をのんでいる場合も、カフェイン入り飲み物は控えましょう。シメチジンが肝臓でのカフェインの代謝を抑えるため、カフェインの副作用である動悸(どうき)・目まい・震え・不安などが生じる恐れがあるからです。
ぜんそくの治療薬であるテオフィリンやエフェドリンを飲んでいるときにカフェイン入り飲料を多く飲むと、過度に中枢神経が興奮してけいれんや頻脈などが出やすくなります。また、気分を落ち着かせる薬や睡眠薬と一緒にのむと、薬の作用が低下する場合もあります。
ほかにもカフェインとの相性の悪い薬がありまので、自分がのんでいる薬とカフェインとの相性がどうなのか、いま一度薬剤師に確認しておきましょう。

第22回 たばこは薬にも影響 (平成18年1月27日(金) 掲載分)

 近年、公共エリアの禁煙ゾーンが拡大されるなど禁煙機運が高まっています。肺ガンを中心にいろいろな部位のガンの発症リスクを高める▽妊婦や胎児に影響を及ぼす▽副流煙の受動喫煙の問題−といった理由からです。
 たばこは薬にも大きな影響を与えることをご存じでしょうか。喫煙者は一般に、非喫煙者に比べて薬を分解する代謝酵素などが活発になっており、1日に20本以上吸うヘビースモーカーは、場合によっては血液中の薬の濃度が低下し、効果が出にくくなることがあります。
 例えば、喘息治療薬のテオフィリンでは、喫煙者が非喫煙者と同等の治療効果を得るためには投与量を1.5から2倍にする必要があります。
一方、薬をのんでいる最中に禁煙したことによって、薬の作用が強まることもあります。そのために禁煙しなくてもいいというわけではなく、主治医と相談し、禁煙した上で薬の量も減らしてもらうことが健康のためにもいいことです。
 さらに、たばこに含まれるニコチンによる影響があります。ヘビースモーカーの糖尿病患者では、ニコチンの交感神経興奮作用によって末梢血管が収縮するため、皮下注射によるインスリンの吸収が低下し、インスリンの投与量を約3割増やさなければならない上、交感神経興奮による血糖値上昇作用により血糖値のコントロールが難しくなると指摘されています。
 また、喫煙者で経口避妊薬(ピル)をのんでいる場合、心筋梗塞の発生率が非喫煙者の約12倍に高まります。この危険性は年齢と共に増加し、35歳以上で1日15本以上の喫煙者はピルをのんではいけないことになっています。
たばこの影響は、喫煙者本人だけではありません。200種類を超えるという有害物質は、副流煙の方に何倍も多く含まれているため、受動喫煙により周囲の人に対しても悪影響を及ぼしています。 喫煙している母親から生まれた新生児の体重は低く、周産期死亡率は高いことはよく知られています。
 薬局・薬店にはニコチンガムなどの禁煙補助剤があり、禁断症状を軽減しながらニコチン依存から離脱する方法をサポートしていますのでぜひご相談下さい。

第23回 牛乳との相性善し悪し (平成18年2月24日(金) 掲載分)

牛乳は良質のたんぱく質、脂肪、ミネラル、ビタミン類を多く含む栄養価の高い食品です。そのため、毎日牛乳を飲んでいる方も多いことでしょう。
 ところで、薬と牛乳を一緒にのむことが良くない場合と、のんでも良い場合もあることをご存じでしょうか。今回は、牛乳と薬ののみ合わせについてご紹介します。
 まず、牛乳にはカルシウムの含有量が多いため、このカルシウムと薬の成分とが結合して溶けにくい物質に変化し、薬の吸収が悪くなるケースがあります。
 このような薬には、感染症や炎症に使用する合成抗菌剤のシプロフロキサシン(シプロキサン)、ノルフロキサシン(バクシダール)、骨粗しょう症の治療薬のエチドロン酸二ナトリウム(ダイドロネル)、アレンドロン酸ナトリウム(フォサマック、ボナロン)、抗生物質のテトラサイクリンなどがあります。
 また、骨粗しょう症などの治療薬のビタミンD3や、強心薬のジゴキシンなどは、大量の牛乳やカルシウム含有量の多いサプリメントなどを同時にとると、腸からのカルシウム吸収が促進されて血液中のカルシウムが増加し、食欲不振、吐き気、めまい、血圧上昇などを起こす恐れがあります。少なくとも1時間以上間隔を空けてください。
 次に、例えばコーラック、スルーラックSなどのように、腸で溶けて大腸を刺激する便秘薬と牛乳を一緒にのむと、牛乳で胃酸が中和されて薬が胃の中で溶けてしまい、効き目が落ちてしまうばかりか、吐き気や気分が悪くなることがあります。薬をのむ前後1時間くらいは牛乳を飲まないでください。
 一方、牛乳でのんでも良い場合もあります。たとえば関節リウマチなどの痛みや炎症を抑える非ステロイド抗炎症薬の中には、空腹時にのむと胃の粘膜を刺激して胃腸障害を起こしたり、吸収が悪くなるため、空腹時を避けて食直後や食物、牛乳と一緒にのんだほうが良い薬もあります。
 薬は水かぬるま湯でのむことが基本です。医師や薬剤師の指示を守って正しくのむことが、安全で治療効果を高めることにつながります。

第24回 グレープフルーツに注意 (平成18年3月31日(金) 掲載分)

 高血圧や狭心症などで投薬を受けるとき、「グレープフルーツジュースは飲まないでください」という注意を受けたことはありませんか?
それは、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン誘導体」という物質が、小腸の粘膜にある「CYP3A4」という酵素(薬物代謝酵素)の働きを阻害するため。小腸の中で薬の分解が遅れると、その結果として薬の作用が強くなり、血圧が下がったり、胸がドキドキしたり、フラフラしたり、顔が赤くなるなどの症状が出ることがあります。
 薬はのんだり、注射することで体内に入り、効果が表れます。しかし、薬は私たちの体にとっては異物(もともと体の中になかった物)であるため、私たちの体は薬を外に出そうと(代謝・排泄)するわけです。
 薬がいつまでも体内にとどまると、副作用などが出やすくなります。このことは生体に本来備わっている防護反応であり、薬に限らず、細菌やその他の異物に対しても反応して私たちの体を守ってくれているのです。
薬が体内に入ってきたとき、それを体外に出そうとする仕組みは、肝臓に多く存在する「チトクロームP450」という薬物代謝酵素が中心になって働いていますが、小腸にある「CYP3A4」も同じ働きをしているのです。
 グレープフルーツジュースと一緒にのむと悪影響が出る薬としては、次のものが挙げられます。
 高血圧や狭心症の治療薬であるニソルジピン(バイミカード)、フェロジピン(スプレンジール、ムノバール)、アゼルニジピン(カルブロック)などのカルシウム拮抗(きっこう)薬▽てんかん治療薬のカルバマゼピン(テグレトール)▽免疫抑制薬のシクロスポリンーなど。
 しかし、カルシウム拮抗薬の中にもグレープフルーツによる影響がほとんどない薬もありますし、影響の度合いには個人差もあります。
薬物代謝酵素の働きが阻害されると、新しい酵素が合成されるまでに数日かかります。また、グレープフルーツの影響は飲食後24時間近く持続し、薬によっては2〜4日持続するとの報告もあります。
 このような影響を受ける薬をのむ期間は、グレープフルーツの飲食は控えたほうがよいでしょう。

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